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2012年1月15日 (日)

低線量被ばくのリスク 政府WGが報告

細野豪志大臣の要請で,政府・放射性物質汚染対策顧問会議の下の「低線量被ばくのリスク管理に関するWG」が,平成23年11月9日以来、8回にわたり議論を重ねた結果を,昨年末(12月22日)に報告書を公開した。全て公開(ネット動画配信,配布資料公開)で行われ透明性の高い議論であった。大臣は全てに参加し,熱心に質問を行った。

報告書の要旨は次のとおりである。が,やはり直接,報告書と動画を見ていただきたい。というのは,自称「放射線専門家」が,大震災当初からツィッターや講演・雑誌・TV等で過激な(無責任な)発言を繰り返したたり,行政寄りの発言をした学者が「御用学者」呼ばわりされたりしたことが,行政や学者への不信に繋がった(福島県伊達市長のWGでの発言)らしいので,微妙な部分を不正確に発言できないな・・と思うから。

でも,WGの主な目的と結論を要約したい。報告書で確認していただくことを前提に・・。

1.低線量(最近では200mSv以下とされることが多い)被ばくの国内外の科学的知見の整理・・・原爆被ばく者,チェルノブイリ原発事故での疫学調査結果等。⇒①発がんリスク: 原爆被ばく者の疫学調査では,100mSvを超える被ばく線量で発がんリスクが増加。国際的な合意では,同100mSv以下では,他の要因の影響に隠れてしまうほど小さい。 ②長期にわたる被ばくの健康影響: 短期より小さいと推定されている。500mSvを超える疫学調査結果: インドでは発がんリスクの増加はない。旧ソ連では増加の報告がある。  ③外部被ばくと内部被ばくの違い: 臓器に付与される等価線量が同じであればリスクは同等と評価できる。 核種が異なってもSv線量が同じであれば人体への影響は同じ。セシウムによる内部被ばくと膀胱がん(ウクライナ住民が増加したとの報告がある)リスクとの因果関係は,国際的には認められていない。 ④子供・胎児への影響: 年齢の違いによるリスク差は明らかでない。原爆による胎児被ばく者のリスクは,小児被ばくと同等かそれより低いことが示唆。 放射線による遺伝的影響は認められていない。 ⑤生体防御機能: 生体には発がんの過程を防御する仕組みがある。

2.放射線による健康リスクの考え方 ⇒①しきい値: 放射線防護/管理の立場からは,低線量被ばくであっても直線的にリスクが増加するという考え方を採用。 ②リスクの程度: 事故と自発的に選択できる他の被ばくリスクを単純に比較することは適切でないが,リスクの程度の理解には有効。 日本人のがん死亡率は約30%(都道府県で10%以上の差)で,長期に100mSvを被ばくすれば約0.5%増加。 喫煙は1,000~2,000mSv,肥満は200~500mSv,野菜不足や受動喫煙は100~200mSvのリスクと同等。 長期100mSv被ばくは,水道水からのクロロホルム摂取よりリスクは大きい。

3.低線量被ばくの影響・・特に①現在の避難指示基準(年間20mSv)が,どの程度のものなのか ⇒ 喫煙,肥満,野菜不足の発がんリスクより低く,避難によるストレスと比べられる程度。 ②特に配慮すべき事項は何か(子供や妊婦への対応等) ⇒ 子供は,放射線を避けることに伴うストレスに感受性が高いので、きめ細かな対応策が必要。                                                

4.リスクコミュニケーションのあり方(省略)                            5.まとめ ⇒ 3つの課題に対して5つの提言を行っている。IntPE

報告書 http://www.cas.go.jp/jp/genpatsujiko/info/twg/111222a.pdf

動画,配布資料 http://www.cas.go.jp/jp/genpatsujiko/info/news_111110.html 

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